二十四輩第十七 念信

照願寺しょうがんじ(大原)

<t_035>照願寺

いすみ市の照願寺の寺伝によれば、開基・念信ねんしんの俗姓は、清和源氏末裔の高沢式部大輔しきぶのたいふ氏信うじのぶと称し、常陸国の高沢山に城を構える武士であったと伝えられる。

入信の教化

寺伝では、氏信が親鸞聖人の門弟となった経緯を、宿縁によって稲田を訪ね、専修念仏の教えを聴聞し、貞応元(1222)年に出家して弟子となり、念信勝渓しょうけいという法名を賜ったという。
念信は、ひたすら布教に努め、その篤い志を喜んだ親鸞聖人から十字名号が授与されたと伝えられる。
親鸞聖人の門弟の名前を伝える『親鸞聖人門侶交名牒もりょきょうみょうちょう』には、念信の弟子として道念、念性、さらに孫弟子として道観、弘願、信力らの名を挙げ、「自余じよの門弟之を略す」と記してあるので、この他にも多数の弟子がいたものと推察される。

照願寺の分立

照願寺は、念信が那珂郡小舟の毘沙幢びしゃどうに一宇を建立したことに始まるが、元禄年間に分立し、茨城県常陸大宮市鷲子とりのこ(大谷派)と、千葉県いすみ市大原(本願寺派)と二カ寺が、その法灯を今に伝えている。
いすみ市の照願寺は、かつては築地御坊(築地本願寺)の僧が輪番制で説法に訪れる寺であったが、文政元(1818)年、もとの茨城県鷲子の照願寺より、第二十一代の西信が住職として入寺し、小山御坊照願寺と称した。

『親鸞聖人伝絵』照願寺本

親鸞聖人の三十三回忌が営まれた翌年の永仁3(1295)年に、聖人の曾孫にあたる覚如かくにょによって聖人の伝記を詞書ことばがきと図画とでまとめた『本願寺親鸞聖人伝絵』が制作された。覚如は晩年に至るまで『伝絵』に手を加え数本を製作したといわれる。
いすみ市の照願寺に伝わる『親鸞聖人伝絵』は、康永3(1344)年、覚如七十五歳の時に制作されたものとされる。四巻からなる絵巻で国の重要文化財に指定されている。

『親鸞聖人 関東ご旧跡ガイド』(本願寺出版社)より引用

正式名称 小山御坊 照願寺
住所 千葉県いすみ市大原10670
アクセス JR外房線大原駅から徒歩14分。
館山自動車道木更津北ICを出て、国道409号線を進む。米沢交差点を右折し国道297号線に。18キロほど進み、船子交差点を左折し、国道465号線に。15キロ先の大原交差点を右折し、国道128号線に。大原漁港入口交差点を左折。
駐車場 普通車10台
参拝 15名以上の時は、事前連絡が必要
お問合せ TEL 0470-62-0668

二十四輩寺院