2026年 8月の法語・法話
As unrelated as we may all seem to be, all of us are in fact deeply interrelated.
永 六輔
法話
世の中のすべての物事は、繋がり合い関係し合って、成り立っている。
気象学者のエドワード・ローレンツ博士は「ブラジルで蝶が羽ばたくとテキサスで竜巻が起こる」と小さな変化が大きな結果につながるバタフライ効果を説明した。
産業革命が技術革新を促進し、それが現代の情報技術の発展に繋がったことも周知の通りだ。
自然界もまた、一見無関係なもの同士が複雑に絡み合っている。例えば、森林の生態系は多様な植物、動物、微生物が相互に依存して成り立っている。木々は酸素を供給し、土壌を保護し、動物たちの住処となる。昆虫や動物たちは植物の種子を拡散して、植物の繁栄を助ける。このように、自然界の生態系は互いに密接に関連しており、どれか一つ欠けてもバランスが崩れてしまう。
落語に「百年目」という演目がある。その中の一節。
天竺というところに、赤栴檀という、とても見事な木があった。その根元に難莚草という非常に見苦しい雑草が生えていた。これでは、せっかくの赤栴檀が台無しだということで、この難莚草を取ってしまったところ、赤栴檀はみるみる弱り、とうとう枯れてしまった。
必要ないと思われた難莚草だが、実はこの草が生えては枯れ、生えては枯れするのが、赤栴檀にとっては欠くことのできないご馳走だったのだ。また、赤栴檀の葉に宿る朝露は、難莚草にとって不可欠なご馳走だった。
この両者は、人間の価値を超えた深い繋がりで共存していたのだ。
社員を酷使することで、会社の存続を危ういものとする社長、会社をバッシングすることで、自分の首を絞める社員。夫の文句をいうことで「その程度の男の妻」となり、妻の文句をいうことで「そんな女の夫」となる。相手にむけたはずの刃で、己の身を切り刻んでいるのかもしれない。
え、夫婦の中で、どちらが赤栴檀でどちらが難莚草かって? それは......も、も、もちろん私が難莚草でございます。
先人たちは「おかげさま」や「冥加」という言葉を大切にしてきた。
それは、私の認識できていることは氷山の一角で、陰になっている山体のほうが遥かに大きいということを、身で感じる中から吐露されてきた言葉に他ならない。
私たちの認識で関係ないように見えることも、見えていないだけで深い関係がある。
私の仰いだ団扇の風が、誰かにとって心地よい微風になっていたらいいな、と思う今日この頃である。
村上 慈顕(むらかみ じけん)
1978年福岡県生まれ。龍谷大学真宗学科卒業。仏教こども新聞編集長。
北九州市 永照寺住職。
- 本願寺出版社(本願寺派)発行『心に響くことば』より転載
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