連合憲章・各派協約

真宗教団連合は、1923(大正12)年に「真宗各派協和会」として発足し、加盟各派の連絡提携を深めるため、1936(昭和11)年に「真宗各派協約」を締結。1967(昭和42)年に「各派協約」を全面更改して再制定しました。
その後、宗祖親鸞聖人の御誕生800年・立教開宗750年を機縁として、加盟各派の更なる連帯協調を深めるべく、1970(昭和45)年に「真宗教団連合憲章」を制定し、「真宗教団連合」としてあらためて出発しました。

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真宗教団連合憲章

前文

われら、親鸞聖人を宗祖と仰ぐ浄土真宗の教団は、この現代社会にあって、教えによって立ち、教えを正しく伝え、ひろく人類に奉仕すべき教団の役割の重大性を認識し、心を一つにして、社会の不安と混迷を救う教団として前進することを決意した。

その目的を実現するために、すべての真宗教団の発意に基づいて、ここに、真宗教団連合を結成し、その憲章を約定する。
われら、加盟する団体は、この憲章を誠実に遵守し、その定めるところに従い、統一行動をとることを、代表者の名において厳粛に誓約する。

第1章 加盟団体

第1条(原加盟団体)

真宗教団連合に加盟する真宗教団は、次のとおりである。

  • 浄土真宗本願寺派
  • 真宗大谷派
  • 真宗高田派
  • 真宗仏光寺派
  • 真宗興正派
  • 真宗木辺派
  • 真宗出雲路派
  • 真宗誠照寺派
  • 真宗三門徒派
  • 真宗山元派
  1. 前項の真宗教団は、真宗教団連合の原加盟団体とし、その地位及び権利について、特別の定めをすることができる。

第2条(加盟手続)

前条の原加盟団体を除いて、真宗教団連合に加盟を要請する仏教団体がある場合において、その加盟の諾否は、所定の手続を経た後、原加盟団体一致の意思によらなければならない。

第2章 目的及び事業

第3条(目的)

真宗教団連合は、親鸞聖人の信仰と教義を基調として、加盟団体相互の連絡提携のもとに、真宗宣布についての総合的対策を樹立し、真に時代に即応する教化活動を展開することにより、社会の不安と混迷を救い、もって、世界平和の進展と人類永遠の福祉に貢献することを目的とする。

第4条(事業)

真宗教団連合は、前条の目的を達成するため、次に掲げる事業を行う。

  1. 真宗宣布について、教学及び教化についての総合的企画を樹立し、その推進をはかること
  2. 加盟団体相互の連絡、提携及び親睦をはかるための諸施策を企画し、実施すること
  3. 国の内外を問わず、ひろく他宗派及び諸団体との交流をはかり、国際親善に寄与し、又は社会的活動を促進し、社会時事問題について啓蒙、解明、解決への方策をとること
  4. 必要な施設その他の物的資産を所有すること
  5. 前各号のほか、必要なこと

第3章 運営組織

第5条(加盟団体の宗主)

加盟団体の宗主は、真宗教団連合の顧問となる。

第6条(理事及び監事)

真宗教団連合に、17人以上33人以内の理事及び2人の監事を置く。

  1. 理事は、加盟団体の推薦した者をもってあて、その任期を2年とする。ただし 重任されることができる。
  2. 前項の規定にかかわらず、加盟団体の役職者たる理事が、その役職を退いたときは、同時に理事も退任するものとする。
  3. 理事は、理事会を組織し、真宗教団連合の業務を議決し、執行する。
  4. 監事は、理事会で選出し、業務執行の状況を監査する。

第7条(理事長及び常務理事)

真宗教団連合に、理事長及び常務理事若干人を置き、理事の互選によって決める。

  1. 理事長は、真宗教団連合を代表し、その事務を総理する。
  2. 常務理事は、常務理事会を組織し、常務を議決し、執行する。

第8条(専門委員会)

理事会の業務執行について、専門的事項を企画調査するために、理事会の決定により、専門委員会を置くことができる。

第9条(評議員)

真宗教団連合に、理事の定数の2倍以内の評議員を置く。

  1. 評議員は、加盟団体の推薦した者及び理事会で選出した者をもってあて、その任期は2年とする。ただし、重任されることができる。
  2. 評議員は、評議員会を組織し、理事長の諮問に応じて助言し、また必要と認める事項を建議することができる。
  3. 第6条第3項の規定は、加盟団体の役職員たる評議員について準用する。

第10条(参与)

真宗教団連合に、参与若干人を置くことができる。

  1. 参与は、理事会で推薦した者をもってあてる。

第11条(事務総局)

真宗教団連合の事務を処理するため、京都市に事務総局を置き、必要な部門を設け、事務職員を置く。

  1. 事務総局の事務総長は、理事長をもってあてる。ただし、場合によっては、常務理事をもってあてることができる。

第4章 支部

第12条(設置)

真宗教団連合に、支部を置くことができる。

  1. 支部の設置は、理事会で決定する。

第13条(支部役職員)

支部に、支部長その他必要な役職員を置く。

第5章 財務

第14条(収入財源)

真宗教団連合の運営経費は、加盟団体の分担金、賛助金、寄附金その他の収入をもって支弁する。

第15条(予、決算)

真宗教団連合の予算及び決算は、評議員会の議を経て、理事会が決定する。

第16条(会計年度)

真宗教団連合の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終るものとする。

第6章 補則

第17条(批准)

この憲章は、加盟団体の代表者によって調印され、それぞれの内部規則の定めるところによって、批准されなければならない。変更の場合も、また同様とする。

  1. 批准書は、真宗教団連合事務総局に寄託される。

第18条(憲章の変更)

この憲章を変更しようとするときは、評議員会の議を経て、理事会の決定による。

第19条(施行細則)

この憲章の施行について必要な事項は、理事会の決定により、施行細則として制定せられ、すべての加盟団体に通知されなければならない。

第20条(法人格)

真宗教団連合が、法人格を取得しようとする場合においては、評議員会の議を経て、理事会の決定の後、原加盟団体全部の賛成を得なければならない。

附則

  1. この憲章は、真宗教団連合に加盟している真宗十派の過半数が批准書を浄土真宗本願寺派内の真宗教団連合事務局に寄託した時に効力を生ずる。
  2. 真宗各派協約は、別に制定されるまで、なお、その効力を有する。
  3. 真宗教団連合規則は、廃止する。

上記真宗教団連合憲章について、それぞれの加盟団体を代表して、ここに調印する。

昭和45年5月20日

浄土真宗本願寺派総長太田 淳昭
真宗大谷派宗務総長名畑 応順
真宗高田派宗務総長望月 光照
真宗仏光寺派宗務長清水 浩成
真宗興正派宗務総長千葉 葆亮
真宗木辺派宗務長高田 善現
真宗出雲路派宗務長楠  法隆
真宗誠照寺派総務波多野 暁浄
真宗三門徒派宗務長阪本 祖温
真宗山元派宗務長代理佛木 道範

真宗各派協約

(昭和42年12月15日発布)

(前文)
浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、真宗高田派、真宗仏光寺派、真宗興正派、真宗木辺派、真宗出雲路派、真宗誠照寺派、真宗三門徒派、真宗山元派の真宗十派は、ともに親鸞聖人を宗祖と仰ぐ宗教団体として、時代の要請にこたえて、いよいよ宗風の宣揚をはかり、立教開宗の本義を開顕して、人類永遠の福祉に貢献すべき重大な使命を負荷されていることを認識し、さらに真宗十派の連絡提携を密にして共通事項を処理するため、昭和11年に制定された「真宗各派協約」を全面的に更改し、新たに「真宗各派協約」を、各派を代表する者の総意によつて、ここに制定するものである。

(章の区分)
第1章  総則
第2章  法要儀式
第3章  教化
第4章  寺院・教会
第5章  僧侶
第6章  共同事業
第7章  補則

第1章  総則

(目的)
第1条 この協約は、真宗十派が選出した代表者の総意によつて議定され、各派の連絡提携を密にし、共通事項の処理を推進することを目的とする。

(各派の協力義務)
第2条 各派は、この協約の趣旨により、各派の独自性を尊重しつつ真宗の真価を内外に発揚するためにふさわしいと認められた共通の事がらについては、積極的に協力しなければならない。

(真宗各派協和会の設置)
第3条 前二条の趣旨を達成するため、真宗各派協和会を設ける。
2 真宗各派協和会については別に定める。

(法規類の交換)
第4条 各派において発布した法規類は、各派相互に通報しなければならない。ただし、機関紙その他刊行物の送付をもつてこれにかえることができる。

(協約に反する法規類の禁止)
第5条 各派は、この協約に違反し、又は抵触するおそれのある法規類を制定し、命令を発することはできない。

(各派の交渉)
第6条 各派相互の連絡交渉等は、その代表者の発する文書によることを原則とする。ただし、必要により、当該事項担当者相互間の協議によることができる。

第2章  法要儀式

(宗祖に関する法要・行事)
第7条 宗祖に関する法要及び行事については、各派の伝統を尊重しつつ、その執行の年度その他基本事項は、協議して決定するものとする。

(共通の勤式作法の制定)
第8条 各派共通の勤式作法を定める必要があるものについては、各派の代表者の合議によつて制定し、各派は、その普及につとめなければならない。

(僧侶の出勤・参列)
第9条 各派の僧侶は、他派の寺院又は他派において行なう法要儀式に出勤し参列することができる。この場合、衣体、序列その他必要な事項については、当事者間の協議によつて定める。

第3章  教  化

(教化の規則)
第10条 各派に定める資格をもつて教化活動に従事する者が、宗意にもとり宗派の体面をけがし又は各派間の親善秩序をみだす言動があつたときは、相互に通報するものとする。通報を受けた派は、速かに調査のうえ適当な処置をとらなければならない。

(講習会等への参加)
第11条 各派において行なう講習会、研修会等に、他派から参加又は聴講の希望申込があつたときは、原則として、これを許可するものとする。

第4章  寺院・教会

(宗主の招請)
第12条 各派に所属する寺院、教会及びその他の所属団体が、他派の宗主を招請しようとするときは、当該各派の承認を得なければならない。

(包括関係の取扱)
第13条 各派の寺院、教会その他宗教団体の包括関係の設定変更に関しては、各派の意思と被包括者の意思を尊重して、特に慎重に処理しなければならない。

(寺院等の転派)
第14条 従前の包括関係を廃止した各派の寺院、教会その他の宗教団体から、新たに包括関係設定の願い出を受けた派は、その旧所属派に照会しなければならない。照会後50日を経て、なお回答がないときは、旧所属派との包括関係は廃止されたものとみなす。

第5章  僧侶

(僧侶の転派)
第15条 各派の僧侶が、転派しようとするときは、その所属派及び転派しようとする派の許可を得なければならない。

(度牒)
第16条 転属する僧侶には、別に得度式を行なわないで、度牒を下付することを原則とする。ただし、得度の条件等の相違により、度牒の下付について、各派において一定の規制を付することができる。

(転派の手続)
第17条 転派しようとする者は、現所属派に転派願を提出しなければならない。
2 転派願を受理されたときは、度牒辞令その他身分上の許状を、所属派へ返納するものとする。
3 前項の手続きを完了した者は、旧所属派の発行する得度の証明書を添付した転属願を、転属しようとする派に提出しなければならない。

第18条 転派願を受け付けた派は、その諾否を転属しようとする派に照会しなければならない。
2 前項の照会を受けた派は、特別の事情のない限り、60日以内に、転属を承認する旨を、文書で回答しなければならない。

(転属後の教師資格)
第19条 転派した僧侶の教師資格については、当該各派間において、その事情に応じて、これを定める。

(転属後の身分・資格)
第20条 旧所属派における地位、身分等を理由として、転属した派に対し、特別の身分資格等を要求することはできない。

(僧籍削除の通報)
第21条 懲戒その他の理由により、僧籍を削除された者があるときは、その旨を各派に通報しなければならない。

(僧籍重複の処置)
第22条 二派に僧籍を有する者があるときは、当該各派協議のうえ処理する。

第6章  共同事業

(共同事業)
第23条 各派は、この協約の趣旨により、共同して行なうべき事業については、各派協力して、その計画と実施に努めなければならない。
2 共同事業に必要な経費は、その事情に応じて各派が分担する。

第7章  補則

(協約の発効)
第24条 この協約は、昭和43年1月1日から発効する。

(協約の有効期間)
第25条 この協約の有効期間は、発効の日から7年とする。

(旧協約の廃止)
第26条 昭和11年2月8日制定の真宗各派協約は、廃止する。

(協約正本の保管)
第27条 この協約の正本は、真宗各派協和会事務所が保管し、各派にそれぞれその副本一通宛を保管する。

(各派相互の協定事項の効力)
第28条 従来各派相互間において締結された協定事項で、この協約に抵触しない事項は、なおその効力を有する。

(協約変更の手続)
第29条 この協約を変更しようとするときは、真宗各派協和会の代表委員全員の賛成を得なければならない。

この協約制定当初の各派の代表委員     

浄土真宗本願寺派総長豊原 大潤
真宗大谷派宗務総長訓覇 信雄
真宗高田派宗務総長望月 光照
真宗仏光寺派宗務長清水 浩成
真宗興正派宗務総長千葉 葆亮
真宗木辺派宗務長高田 善現
真宗出雲路派宗務長楠 法隆
真宗誠照寺派総務波多野 暁浄
真宗三門徒派宗務長清原 良雄
真宗山元派宗務長高帛 祐恭